多くの展覧会でご利用いただいている高品質な額装と、大切な資料を綺麗に保つための保存額装の紹介です
プレゼンテーションや展示・論文などに最適な出力サービスです。メール入稿や宅配発送も承っております。
初等教育から大学・大学院まで幅広い美術・建築教育をサポートしています。
建築事務所向けに模型道具・材料の販売を行っています
レモン画翠がお客様と共に作ってきたオリジナル商品を紹介します
建築模型用アクリルケースのオーダーメイド承ります。
レモンのお得なポイントカードです。イラストは作家・井上洋介によるものです
1978年より毎年開催している建築学生を中心とした卒業設計展です。多くのプロの建築家が出展した歴史のある展覧会です。
〈第47回レモン展について〉
8月開催予定
このページでは、
展覧会の概要
学生設計優秀作品展組織委員会・後援・協賛
レモン展の歴史
日本建築学会賞を受賞
文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞
デジタルアーカイブ
ポスターギャラリー
建築家インタビュー
を紹介します
画材講習会2回目は透明水彩絵具の老舗ブランド、ウィンザー&ニュートン(以降W&Nと表記)のプロフェッショナル ウォーターカラーを題材に、絵具の持つ特性などを教えていただきました。(※このページで単に「絵具」と表記している場合は透明水彩絵具を指します。)
まずはその歴史から。
1832年にイギリスの科学者のウィリアム・ウィンザーと画家のヘンリー・ニュートンが世界初の水彩絵具の販売を開始。二人の名をとってW&Nが創立されました。特に設立者のウィンザーが科学者だったことから、創立当初から絵具の含有化学成分を公開していることでも有名です。
1841年に英国王室御用達の栄を授けられて以来、ずっと更新し続けている(定期的に再審査され、基準に満たない場合は取り消されてしまう)というエピソードからもブランドの品質の高さがうかがえます。
前回のリキテックス編でも説明があったとおり、透明水彩のバインダー(接着剤)はアラビアゴム(ゴムの木の樹液)で、水によく溶ける性質があります。
一口に透明水彩と言っても様々な種類があり、W&Nではチューブに色々な情報を掲載しています。
例えばチューブ裏面の□マークは透明度を表しており、□は透明、□に斜線が入ったものは不透明、その斜線の上半分が黒いものが半不透明、■が不透明と4種類に分かれています。
その他、ラベルに記載されている情報以外にもW&Nの絵具には色によって大きな特性が2種類あります。
・G(グラニュレーション)タイプ:「粒状」を意味し、含量している粒子が大きいため紙目に顔料が引っかかりやすく、紙目を活かした表現に向いているタイプ。Gタイプのフレンチウルトラマリン(写真左)を実際塗ってみたところ、講習用紙の紙目がかなりはっきり出ました。
・ST(ステイニング)タイプ:「染み込みやすい」を意味し、顔料が紙に均一に染み込むため青空などの平坦な表現がしやすいタイプ。STタイプのウィンザーブルー(写真右)を塗ってみたところ、紙の凹凸にあまり影響されずに色が浸透しているのがわかりました。
これらGとSTの性質は相反するものではなく、両方を兼ね備えた色(カドミウムレッドなど)、どちらにも該当しない色(バーントシェンナなど)もあります。
ちなみにこのG/STのタイプはW&Nのパンフレットやバニーコルアート社のHPからDLできる全色ストーリーのカタログ(下記URL)等でも確認できます。各色のエピソードも面白いので薀蓄とか好きな方は必見です。
https://www.bonnycolart.co.jp/news/detail/72/
「透明」水彩の中にも不透明色があります。(2章のマークで言うなら■のマークのもの)
例えばカドミウムイエロー(左の写真の左側)は隠蔽力が高く、発色が良いのが特徴です。これは光を通しにくい顔料を使用しているためです。比較のために透明色のトランスペアレントイエロー(左の写真の右側)を塗ってみると、どちらもはっきり発色しますが、同じ黄色でも受ける印象がかなり違います。(トランスペアレントは「透明」の意)
研修では乾いたGとSTの青二色の上に透明色と不透明色の黄色二色を重ねるとどうなるか、というのを試したのですが、私が絵具を薄め過ぎてうまくいかなかったのでパンフレットの写真をお借りしました。(右の写真)
不透明色は青色を隠すように発色し、透明色の場合は色セロファンを重ねたように下の色と重なって発色します。
W&Nの最大の特徴は約八割の色が単一顔料で作られている点です。これは単純に素材の良さが出やすいというだけではなく、混色したときにこそ威力を発揮します。
一般的な絵具は何種類かの顔料を混ぜて特定の色を作り出すことが多く、混ぜれば混ぜるほど色が濁る減色混合の絵具において、色がくすむ原因となっています。
例えば「3種類の顔料を混ぜて作った青」と「2種類の顔料を混ぜて作った黄色」を混色させた場合では「5種類の顔料を混ぜて作った緑」になりますが、W&Nの場合はそれぞれ単色顔料なので「2種類の顔料を混ぜて作った緑」となり、5種類のものに比べて鮮やかな発色になります。また狙った通りの色を作りやすいというメリットもあります。
特性の違いによる混色の差を実際に試してみました。(各写真の上が乾燥前、下が乾燥後です。)このように各絵具の特性や混色の癖を覚えておくと実際に描くときも狙った色を作りやすいそうです。
顔料の多くは土や鉱物由来のものですが、「ローズマダージュニイン」はセイヨウアカネの根から抽出した植物由来の顔料です。
チューブをあけるとバラの香りがする事でも有名な人気の色だそう。華やかなバラ色とも相まって人気なのもうなずける色ですね。
名前に関する豆知識!よく絵具で目にする「〇〇ヒュー」という色は「代替の」「〇〇風の」という意味です。
また、「パーマネント〇〇」も元々は六価クロム(有毒なため使用されなくなった)を使用した顔料の代替色として開発された色でしたが、代替色の方が性能が高かったことから「恒久的な」という良い意味の「パーマネント」がそのまま使われるようになったそうです。
W&Nのマスキング液には乾燥後にはがせるタイプと紙に染み込ませてはじくタイプの2種類があり、今回両方お試しさせていただきました。
ちなみにマスキング液は筆を痛めるそうなので、つけペンのようなものを利用するか、傷んでも構わないマスキング専用の筆を用意するのがおすすめとのこと。
・アートマスキング液(剥がすタイプ)
液が淡い黄色なので、マスクした場所が後からわかりやすいマスキング液です。
液が乾いてから絵具を重ね、その絵具が乾いてから消しゴムなどでそっと擦るときれいに剥がれます。液が固まって盛り上がるので絵具をしっかりせき止め、境界がはっきりと出やすいのが特徴です。
同じく剥がすタイプで液が乾くと透明になる「カラーレスマスキングメディウム」という製品もあります。
・パーマネントマスキングメディウム(染み込ませるタイプ)
紙に染み込ませて絵具をはじくことで白く抜くタイプのマスキング液。
こちらのタイプは使用に少しコツがいるようで、液が薄い箇所と濃い箇所で絵具のはじき具合が違っていました。はじきが甘いと若干絵具も染み込みますので、しっかりと白くしたいところは何度か重ねづけすると良いそうです。
逆に言えば剥がすタイプに比べて境界が穏やかな感じになるので、柔らかく抜きたいときにはこちらの方が向いています。
剥がすタイプと違い、乾燥後マスキングした部分に若干光沢感が出るので、マスキングを選ぶ際にはそのあたりもポイントになりそうです。
W&Nにも絵具と混ぜて様々な効果をもたらすメディウムがラインナップされています。
その中のいくつかを体験させていただきました。
なおマスキング液やメディウムの瓶に関しては「蓋開かない」とよくお問い合わせがあるそうです。
W&Nのメディウムの瓶は誤飲防止のためのダブルキャップになっており、そのまま回してもカチカチと空回りするだけなので、開ける特は蓋を上からグッと強く押した状態で回すと開きます。
蓋に開け方を示したイラストもありますので、これから使ってみようかなという方は覚えておくと良いかもしれません。
W&Nの絵具はどれもパッと目を引く鮮やかな発色なんですが、その秘密が単色顔料というのは目からウロコでした。(絵具は色んな顔料を混ぜて作る秘伝の色!みたいな思い込みがあったので…。)
そして今回教えていただいたGやST、透明、不透明などの絵具の特性は、「この色を作りたいときはこう混ぜる」というセオリーを考えながら混色できるという意味で、制作上の大きな助けになる情報だと感じました。今後「この色はどんな性質なんだろう?」と一色一色と向き合うことでより制作が楽しめそうです。
今回のメインテーマ、W&Nの製品はレモン画翠1Fにて販売中です。透明水彩、固形水彩(ハーフパン)はそれぞれセットとバラで、その他ウォーターカラーマーカーや筆、スケッチブックもお取り扱いしております。(※現在W&Nのマスキング液とメディウム類のお取り扱いはございませんが、最小ロットからお取り寄せ可能です。)
二回に渡り、アクリル絵具と透明水彩について実際に体験しながら教えていただきましたが、まさに百聞は一見にしかず!使ってみないとわからないことが沢山ありました。このレポートでどこまでお伝えできたかはわかりませんが、これから始めようかな、と思っている方の参考に少しでもなれば幸いです。
レモン画翠の店舗でも折に触れて様々な製品の試供品や見本などを出しておりますので、ご来店の際は是非お試しいただき、気になる画材を見つけたならばレモン画翠でご購入いただけると大変嬉しく思います。ご不明点がありましたらお気軽にスタッフまでご相談ください。
最後になりましたが、ご教授いただきましたバニーコルアートの井上様、本当にありがとうございました。
バニーコルアート社では色々体験イベントなどもされているようです。こちらも機会がありましたら是非!
バニーコルアート 公式HP
https://www.bonnycolart.co.jp/
バニーコルアート 公式twitter
https://twitter.com/bonny_colart
最後までお読みいただきありがとうございました。
→リキテックス(アクリル絵具)編へ