第46 回 学生設計優秀作品展 -建築・都市・環境-

通称「レモン展」として建築家を志す学生たちに親しまれている、「学生建築設計優秀作品展」。レモン画翠が主催する本展は1978年にスタートし、40年という長きに亘って継続する数少ない卒業設計作品展です。大学・専門学校建築科の卒業設計から優秀作品を一堂に集めて展示することで、日本の建築設計教育の高い水準を示すと同時に、学生の方々にとって相互の刺激の機会となり教育効果が期待される貴重な設計展として、高い評価をいただいております。さらに近年では、学生ワーキンググループの企画・運営による特別展を同時開催し、主体的な参加による多くのチャレンジが生まれる場を、学生の皆さまへ提供しております。

開催期間
2023年6月24日(土) ~ 26日(月)
10:00〜19:00(最終日は15:00まで) *入場無料
会場
明治大学駿河台キャンパス 「アカデミーコモン 2F」
講評会
6月25日(日) *入場無料
場所 : 明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン3F「アカデミーホール」

出展者によるポスターセッション  10:00~12:30
優秀作品講評・表彰        14:00~17:00


審査委員長 斎藤公男(A-Forum 代表/日本大学名誉教授)
審査委員  今村雅樹(今村雅樹アーキテクツ)
      千葉 学(千葉学建築計画事務所/東京大学)
      森田祥子(MARU。architecture)
      塩崎太伸(アトリエコ/東京工業大学)
司会・進行 古澤大輔(リライト_D /日本大学)
      (敬称略・順不同)
参加予定校数
大学・専門学校 (58校78学科)
修士(21校21専攻)
出版
当展覧会 作品集(全出品作品掲載)
A4判 フルカラー 132頁 ¥1,200(税込)
会場内にて販売
主催
学生設計優秀作品展組織委員会
レモン画翠
参加予定校一覧
■大学・専門学校部門
愛知産業大学
青山製図専門学校
大阪大学
神奈川大学
関東学院大学
京都大学
京都芸術大学
京都工芸繊維大学
共立女子大学
近畿大学
熊本大学
桑沢デザイン研究所
慶應義塾大学
工学院大学
国士舘大学
駒沢女子大学
滋賀県立大学
静岡理工科大学
実践女子大学
芝浦工業大学
昭和女子大学
女子美術大学
多摩美術大学
千葉大学
千葉工業大学
中央工学校
筑波大学
デザインファーム建築設計スタジオ
東海大学
東京大学
東京藝術大学
東京工業大学
東京工芸大学
東京造形大学
東京テクニカルカレッジ
東京デザイナー学院
東京電機大学
東京都市大学
東京都立大学
東京農業大学
東京理科大学
東北工業大学
東洋大学
長岡造形大学
日本大学
日本工業大学
日本女子大学
福岡大学
文化学園大学
法政大学
北海道大学
宮城大学
武蔵野大学
武蔵野美術大学
明治大学
明星大学
横浜国立大学
立命館大学
早稲田大学
(五十音順)

■大学院(修士)部門
神奈川大学大学院
京都芸術大学大学院
工学院大学大学院
芝浦工業大学大学院
昭和女子大学大学院
多摩美術大学大学院
千葉大学大学院
千葉工業大学大学院
東海大学大学院
東京大学大学院
東京藝術大学大学院
東京電機大学大学院
東京理科大学大学院
日本大学大学院
日本工業大学大学院
日本女子大学大学院
法政大学大学院
武蔵野大学大学院
武蔵野美術大学大学院
明治大学大学院
早稲田大学大学院
(五十音順)

学生設計優秀作品展組織委員会

レモン画翠

<委員長>
小林正美(明治大学)

<委員>
赤松佳珠子(法政大学)、大河内学(明治大学)、門脇耕三(明治大学)、川島範久(明治大学)、坂牛卓(東京理科大学)、佐藤光彦(日本大学)、塩崎太伸(東京工業大学)、重枝豊(日本大学)下吹越武人(法政大学)、田中友章(明治大学)、千葉学(東京大学)、二瓶士門(日本大学)、日野 雅司(東京電機大学)、古澤大輔(日本大学)、堀啓二(共立女子大学)、連勇太朗(明治大学)、柳沢究(京都大学)、山中新太郎(日本大学)、ヨコミゾマコト(東京藝術大学)、松永直美(レモン画翠)

<協力>
安藤直見(法政大学)、貝島桃代(筑波大学)、高佳音(東京理科大学)、郷田桃代(東京理科大学)、篠原聡子(日本女子大学)、杉浦久子(昭和女子大学)、積田洋(東京電機大学)、手塚貴晴(東京都市大学)、中田千彦(宮城大学)、古谷誠章(早稲田大学)、山名善之(東京理科大学)、山本俊哉(明治大学)

(敬称略、五十音順)

後援

一般社団法人 日本建築学会
公益社団法人 日本建築家協会
公益社団法人 日本建築士会連合会
一般社団法人 東京建築士会
千代田区
公益財団法人 まちみらい千代田
(順不同)

協賛

有限会社イチイカンパニーリミテッド
新日本造形株式会社
積水化成品工業株式会社
株式会社美術出版エデュケーショナル
ホルベイン画材株式会社
マックス株式会社
株式会社ミューズ
(五十音順)

特別後援

明治大学

企画運営

学生設計優秀作品展組織委員会
学生ワーキンググループ
事務局:レモン画翠

1

一人の学生と画材屋の店長との出会い。学園紛争の爪痕が残る中、大盛況となった小さな展覧会。

40年前、ある学生とある画材店の店長の出会いから、 卒業設計展の先駆けである学生建築設計優秀作品展(通称:レモン展)が始まった。
レモン展が始まった1970年代は、学園紛争が終わったばかりで、レモン画翠社長であった松永和夫氏が『学園紛争のときに学生達が店に逃げ込んできて、入口に食用として置いてあったレモンを催涙ガスの被害を和らげるためによく買っていた』と回想するくらい、まだ紛争の火種が残っている時代だった。 その頃、大学の建築学科では、英国式と呼ばれる古式の高い製図道具セットが売り続けられていた。
日本大学建築学科の4年生であった重枝豊氏(現、日本大学理工学部教授)はレモン画翠店長であった加賀敏博氏に、レモン画翠が推薦する製図道具セットを作り、安く学生に提供できないかと提案し、あれこれと選定を始めていた。 また当時は、卒業設計を他の大学の学生が見る機会がなかった事もあり、そのセットを販売した利益の一部を使って、お茶の水近郊の大学を集めて展覧会を開催するという企画を立ち上げたのである。 旧・日仏会館(現、華道池坊御茶ノ水学院)の一室を借り、東京大学、東京理科大学、東京電機大学、日本大学、東京藝術大学、文化学院、YMCAの7校7学科を参加校として、第1回の展示会が開催された。会場は現在(明治大学駿河台校舎アカデミーコモン)の1/10ほどのスペースしかなかったが、来訪者数は800名を超え、一時は入場制限をかけるほどっだったという。


2

学生主体の運営の衰退と復活

継続して開催しているうちに、企業としての社会的評価を得ると同時に、地域におけるレモン展の認知度が高くなったことによって、多くの人々がレモン展の継続を期待する状況が生まれていた。 もちろん経済的に厳しい状況もあった。しかし、建築を学ぶためのシンポジウムや、まちづくり展を開くなど、地域の企業が利益を追求するだけでなく、感謝の意を込めて利益を還元していくという意味で毎年、イベントを行っていくことに意義があった。
近年では、参加校が50校70学科を数え、初期に比べ格段に規模が大きくなっている。また昨今、全国各地で類似した卒業設計展が開催されているが、レモン展とそれらは根本的に異なっているのである。学会が主催するコンペのような卒業設計ではなく、この企画はあくまでも、レモン画翠とお茶の水近郊の学生、すなわちお茶の水に拠点を構え、地域に根ざしているもの同士が、地域でできることをやっていこうという趣旨なのである。
当初のレモン展は、レモン画翠からの3人のスタッフと出展する学生達が自主運営していたが、その後規模が拡大するに従い、学生は自分の出展作品を送るだけになってしまっていた。 ここ数年は、企画運営へのより主体的な学生参加が復活し、学生優秀作品集展だけでなく、まちづくり展などの共催により、展覧会の本来のコンセプトが復活し始めている。


3

これまでの40年、これからの40年

レモン展は、「学生が企画をつくり」、「どう資金を集めるか」など、社会に対して、学生がどうアプローチしていくかを考える格好の場と言えるだろう。このような経験は貴重である。「企業が学生のために時間を割き、話を聞く姿勢はまだ世の中に残っている。学生だからこそ出来ることに挑戦することが大切なんだ。」と重枝氏は言う。 最近の学生の気風を見ると、与えられたことを無難にこなし、特別目立った行動をしない、なにか思っていても実行に移そうとしないという風潮があるが、他者に「話を聞かせる」「聞いてもらう」というモチベーションを持って行動することが大切なのではないかと改めて考えさせられた。1つの企画を40年続けることは、決して容易なことではない。そこには、様々な立場の多くの人々の努力、協力が不可欠であった。しかし、「40年」はあくまでも通過点であり、過去の思い出にするのではなく、より意義のある展示会に発展させていかなくてはならない。 また学生参加という場を与えてくれているレモン画翠があるからこそ、学生は「学生であること」を最大の強みにし、多くのことに挑戦することができる。 レモン展は多くの人の力により、これからも地域に根ざした展覧会としてお茶の水に生き続けるであろう。


各分野で活躍する歴代の出展者

五十嵐太郎(東北大学) 伊藤恭行(C+A/名古屋市立大学) 岡田哲史(岡田哲史建築都市計画研究所/千葉大学) 小川広次(小川広次建築設計事務所) 小野弘人(西片建築設計事務所) 貝島桃代(アトリエ・ワン/筑波大学) 熊倉洋介(熊倉洋介建築設計事務所) 坂牛卓(O.F.D.A/信州大学) ジン・ヨハネス(Gin Johannes Studio) 田井幹夫(アーキテクト・カフェ) 竹内昌義(みかんぐみ/東北芸術工科大学) 手塚由比(手塚建築研究所) 寺林成子(SO設計事務所) 中村拓志(NAP建築設計事務所) 西森陸雄(西森事務所) 堀啓二(山本・堀アーキテクツ) 森川嘉一郎(桑沢デザイン研究所) 山下秀之(長岡造形大学) 山名義之(東京理科大学) 米田明(アーキテクトン/京都工芸繊維大学)

2018年日本建築学会賞(業績)受賞のご報告

レモン画翠主催の「学生設計優秀作品展-建築・都市・環境-(通称:レモン展)」が「2018年日本建築学会賞(業績)」を受賞しました。日本建築学会賞(業績)とは建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的として、毎年国内の優秀な業績を表彰するものです。
作品展を立ち上げ、40年間の長きにわたり継続してきた事、また建築教育への貢献・建築界ネットワーク構築への貢献が評価されました。

本業績はひとえに今までご尽力いただいた先生方、学生ワーキンググループ、快くご登壇いただいた建築家・アーティストの方々のご協力あってこそです。関係者の皆様には厚く感謝を申し上げるとともに、今後、より一層努力する所存です。

業績紹介(pdf)
日本建築学会賞(業績)受賞内容


組織委員の業績

レモン画翠
作品展を立ち上げた後、主催として様々な支援を続け、40年間の長きにわたって学生設計優秀作品展を継続し開催した。
小林正美
長年、学生設計優秀作品展組織委員長として本展示会に貢献し、運営と会場整備などの支援を行った。
重枝豊
初回の開催を実現し、初動期に組織委員として多大な貢献を行った。
学生設計優秀作品展組織委員会
レモン画翠

<委員長>
小林正美(明治大学)

<委員>
赤松佳珠子(法政大学)、今村雅樹(日本大学)、宇野求(東京理科大学)、大河内学(明治大学)、門脇耕三(明治大学)、佐藤光彦(日本大学)、下吹越武人(法政大学)、田路貴浩(京都大学)、千葉 学(東京大学)、二瓶 士門(日本大学)、日野 雅司(東京電機大学)、古澤大輔(日本大学)、堀啓二(共立女子大学)、山中新太郎(日本大学)、ヨコミゾマコト(東京藝術大学)、渡辺真理(法政大学)、松永直美(レモン画翠)

<協力>
赤堀忍(芝浦工業大学)、安藤直見(法政大学)、貝島桃代(筑波大学)、郷田桃代(東京理科大学)、篠原聡子(日本女子大学)、杉浦久子(昭和女子大学)、園田眞理子(明治大学)、積田洋(東京電機大学)、手塚貴晴(東京都市大学)、中田千彦(宮城大学)、古谷誠章(早稲田大学)、山名善之(東京理科大学)、山本俊哉(明治大学)

(敬称略、五十音順)

平成31年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進)受賞のご報告

この度、日本建築学会のご推薦により学生設計優秀作品展(通称レモン展)が、科学技術に関する理解増進において顕著な成果を収めたものの功績を讃える賞である「平成31年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進)」を受賞いたしました。

1.受賞内容

(1) 受賞名:平成31年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門)
(2) 受賞件名:学生設計優秀作品展の40年間継続による普及啓発

2.内容

本活動は、松永直美(レモン画翠)、小林正美(明治大学 教授)、重枝豊(日本大学 教授)が「学生設計優秀作品展組織委員会」を組織し、各教育機関の建築科を横断する優秀作品(修士設計を含む図面・パース・模型など)の展示を継続して開催している。2017年に開催された第40回展では、大学・専門学校・大学院を合わせて北海道から九州まで全国56校99学科が参加した。
優秀作品を一同に集めて展示し、記録集を発行することで、開催時における我が国の建築設計教育の水準が正確に記録され、貴重な学術的資料として位置づけられると共に、我が国における過去40年間の建築教育のアーカイヴ性を有している。全国の大学(院)生や高校生たちが、同年代の卒業設計に対する取り組みに直に触れることで、相互に刺激を与え、建築設計への意欲を啓発する重要な教育的機会となっている。
本活動により、我が国の建築教育と建築文化に大きく貢献しており、展示経験を通じて優れた建築家や教育者を輩出することで、我が国の建築デザインの質を向上させる重要なネットワーク環境を構築することに寄与している。

また同表彰の表彰式が4月17日文部科学省に於いて開催され、共同受賞者である小林正美明治大学教授、重枝豊日本大学教授と共にレモン画翠の松永が参列いたしました。
特に表彰状の授与では科学技術賞 理解増進部門の受賞者を代表して松永が柴山文部科学大臣より表彰状を授与されました。

この度の受賞は偏に長年にわたりご指導、ご支援をいただきました多くの皆様のご尽力によるものと深く感謝申し上げるとともに、会場を提供いただいております明治大学様に心から御礼を申し上げます。