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2026年8月19日

WHAT MUSEUM 「波板と珊瑚礁 − 建築を遠くに投げる八の実践 − 」 観覧レポート

御茶ノ水の画材・建築模型材料店のレモン画翠です。

WHAT MUSEUMにて2026421日~913日まで開催の「波板と珊瑚礁 − 建築を遠くに投げる八の実践 − 」に弊社スタッフが伺いました。

本展では、模型を単なる縮尺物としてではなく、概念や思考の断片を担うメディウムとして捉え、その拡張的な側面に焦点をあてます。

主に2010年以降に活動をはじめた建築家八組が、本展のために制作する模型や映像、空間的な構成を通して、建築家の思考そのものを提示しています。

ここからは展示されている作品をひとつひとつご紹介していきます。

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【1】RUI Architects「Prop」

街歩きをして見つけたおもしろい風景の模型を制作されています。

街のなかにあるもの同士の配置や関係を見つめ「何気なくそこにあるものも、よく見るとまわりのものや場所との関係のなかで置かれ、その場の風景の一部になっている」という見方をされています。

展示では5枚の模型写真とテキスト、それに対応する5つの模型が並び、模型はその写真の視点からつくられ、会場ではさまざまな角度から自由に見ることができます。

制作者は、街を見ていき、どのようにおもしろさを自らの建築に取り入れるかを考えているそうです。

自分も街歩きをしておもしろい風景を探してみたい!そう感じられる作品でした。

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【2】DOMINO ARCHITECTS「PULP FICTION (jetway)」

空港で飛行機と建物をつなぐ搭乗橋を4つ繋げ、終わりのない回廊のような空間にした模型です。(縮尺は10分の1)

現実には存在しない想像上の空間を模型としてかたちにした本作は、制作者自身が長い時間をかけ、全てを1人の手で制作しました。

将来は実際に作り、中でファッションショーなどを開催したいと考えているそうです。

驚くことに、カッターを入れた回数や使用した接着剤の量なども記録されており、音声ガイドで詳細を聞くことができます。

間近で見ても手作業で作られたとは信じられない精巧さで「10年ほど前からボーディング・ブリッジに興味があった」という制作者の強い情熱が感じられました。

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【3】GROUP「都市と眠り  City Asleep」

本作は「都市のなかで人が眠ることができる場所」に着目し、「眠り」からわたしたちの生活や社会のあり方を見つめ直しています。

映像、3Dプリントによる模型、LEDディスプレイによる図面など、さまざまな技術を組み合わせながら、都市と眠りの関わりを描き出します。

その中のひとつ、都市の中で寝てしまう一つの例としてマクドナルドの店内座席を1/1スケールで表現されています。

「街を歩いていて急に眠くなることや、誰かが思いがけない場所で眠っていること。そうした身近な出来事から、都市が何を受け入れ、何を排除しているのかが見えてくる」という考えです。

制作者はリサーチベースで提案することを大切にされているそうです。

日常の一部である「眠り」と都市の関係はどうなっているのだろう、そう考えさせられる作品でした。

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【4】Office Yuasa「闇、遅れた微光  Darkness, Afterglow」

この展示では壁、椅子、机、本など、空間をつくるさまざまなものに、光をためて暗がりでほのかに光る塗料が塗られています。

来場者が過ごした痕跡が照明を消したあとかすかな光として空間に残り、会場は少しずつ表情を変え、人がいた時間や気配が静かに積み重なっていきます。

完成した形としての建築ではなく、人が関わることで変わり続ける場を表現しており「すでに空間の中にも過去と現在が共存している」「遅れる、時間のかかることに対してそれが逆に熟考した判断が生み出せるのではないか?」という考えで作られたそうです。

直感的なため、年齢や建築の知識の有無関係なく楽しむことができる作品だと思いました。

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【5】畠山鉄生+吉野太基+アーキペラゴアーキテクツスタジオ「What is ○△□?」

本作は円、三角、四角という誰もが知っている形を見つめ直しながら、物の形とは何かをあらためて考えるものです。

○△□という基本的な図形が、素材や置かれ方、見え方によって違って見えてくるように示されています。

ここでは図形は意味の決まった記号としてではなく、見る人や状況によって変わるものとして扱われています。

「まる・さんかく・しかくを、私たちは本当に知っていると言えるのだろうか」

「もし〈あるがまま〉に観ることが可能だとしたら、そこに「ある」もの、あるいは「ない」ものは何なのだろうか」

という形をめぐる感覚や解釈のゆらぎそのものをテーマとした作品です。

制作者の方々は、常に先入観を取り払い「今作ろうとしているものは何なのか」思い込んでいたことを取り払って設計することを大切にされているそうです。

建築という枠を超え「〜だからこうあるべき」という考え方自体に向き合った作品だと感じました。

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【6】ガラージュ「ほどかれた結界  Disentangled boundaries」

「建築は動いていく、変化していく存在」として、それを展示室のなかに棒と針金でゆるやかに区切られた場をつくり、表現された作品です。

制作者の方々は搬入期間を含む約1ヶ月の間 WHAT MUSEUM に通い、この展示空間そのものを作業の場として使いながら、研究、制作、検証、設営が続いていく状態をつくり出してきたそうです。

セメントの袋やスコップなど、作品が作られるプロセスも空間に配置されていました。

私たちが伺う前に多くのお子様が訪れ、みんな楽しんで針金を捻ったりしていたそうです。

「自分の近くにある棒を揺らすと、棒と棒を結ぶ針金を伝い、遠くの棒が揺れる」という遠くにある物体に干渉できる体験が面白かったです。

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【7】ALTEMY + risa kagami「往還する身体   Inter-Embodiment」

渋谷センター街のライブカメラとWHAT MUSEUMの廊下に設置されたカメラの映像から人びとの姿だけが切り抜かれ、会場内の複数のスクリーンに映し出されます。

そこには展示室にいる来場者自身の姿も映り込み、別の場所にいる人たちと一緒にひとつの空間を立ち上げます。

この作品は人をひとまとめにするのではなく、それぞれ異なる身体やふるまいをもつ存在として捉えたものです。

建築を完成した形ではなく、人と人との関わりから絶えず更新され続ける環境として捉え直す試みとなっています。

「異なる場所にいる人々と同じ空間にいる」という現実では体験し得ない状況に、なんとも不思議な気持ちになりました。

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【8】平野利樹 「東京箱庭計画   A Hakoniwa Plan for Tokyo」

箱庭療法を応用した作品です。

箱の中にものを並べて3Dスキャンをし、その後生成AIに読み込ませることを重ね、都市に変換する、というもの。

ここでの生成AIは「正しい答えを出すための道具」というより「思いがけない見え方や予想外の風景を返してくる存在」として使われています。

「みんなの中にある興味のあるもの、深層心理が都市の在り方に反映されるのでは?」という実験的な試みで、制作者は「ものが溢れかえった時の美しさがあるのでは?」と考えているそうです。

展示会場には「あなたの箱庭」という実際に箱庭を作ることができる体験スペースも用意されており、箱の中にすきなおもちゃを並べ、一定期間ごとに生成AIに読み込まれたものを見ることができます。

どのおもちゃを並べようかな、このおもちゃはどのように都市に反映されるのかな、と気軽に楽しみながら建築に触れられる作品だと感じました。

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【建築倉庫】

また、展覧会とあわせて建築倉庫も見学させていただきました。

WHAT MUSEUM の建築倉庫では、建築家や設計事務所からお預かりした800点以上の建築模型を保管し、その一部を公開しています。

プロの方が手がけた建築模型を間近で見ることができる、国内でも数少ない貴重な場となっています。

また、2025年には体験型スペースを増設し、定期的にワークショップやトークイベントを開催されています。

大きなスケールの建築模型が一堂に会する光景は圧巻で、建築を学ばれている方はもちろん、初めて建築に触れる方も楽しめる空間でした。

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今回の展示会は、今まで自分が持っていた建築のイメージを大きく覆す機会となりました。

八組の建築家の作品からは、アウトプットの形は異なれど、どなたも共通して建築に対して真摯に向き合い新しい視点で建築の世界を開拓していく熱い思いを感じられました。

建築倉庫も体験型スペースがあることで、プロの建築家の方々の作品に触れた直後に「実際に自分も建築を作ってみよう」というアクションに繋ぐことができる、大変魅力的な場所でした。

こちらの展示会は2026年9月13日(日)まで開催されております。

ご興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください!

■ 展示情報

「波板と珊瑚礁 - 建築を遠くに投げる八の実践」

会期:2026年4月21日(火)~9月13日(日)

会場:WHAT MUSEUM

住所:〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号

開館時間:11:00~18:00(最終入館17:00)

休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜休館)

https://what.warehouseofart.org/exhibitions/corrugatedcoral/