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末光弘和+末光陽子/SUEP.展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」:観覧レポート

御茶ノ水の画材・建築模型材料店のレモン画翠です。
2022年6月8日(水)よりTOTOギャラリー・間にて開催中の末光弘和+末光陽子/SUEP.展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」に弊社スタッフが行ってきました。

こちらの展覧会は、著名な建築家である末光弘和さんと末光陽子さんが共同で主宰している建築ユニット"SUEP(スープ)"が行っている展覧会です。SUEPは設立以来、リサーチを行ってアイデアの種を発見・育成するためのLAB活動という所内研究会を続けてきました。それは苗床のような位置付けのものであり、実際の建築プロジェクトとは少し離れたものでありながらも、その活動から得た知見を元に、建築デザインとして展開しています。今回の展示では、「自然との共生」をテーマにした建築デザインを目指すSUEPが行ってきた数多くのリサーチや検証、それらが建築の循環システムとして現れている様子が明らかになっています。

ギャラリーのあるビルは、入り口に掲示された展覧会ポスターが目印(新型コロナウイルスの感染拡大防止のため事前予約制でした)。
会場は、GALLERY 1(3階)とGALLERY 2(4階)、そしてCOURTYARD(ビル中庭エリア)の3つで構成されています。GALLERY 1では、上記で触れたアイデアの種を発見・育成するためのLAB活動や、その中で発見された種と地球上の循環を繋げて作られた建築に関する内容が展示されています。太陽の軌道や日射・緑陰(木陰)など、わたしたちの身の回りにある自然の恵みを活用するべく、制作や3Dプリンターで出力された模型を使ったシミュレートの解説が繰り広げられています。壁際に設置された模型の側面(黒い部分)や入口横の壁を黒板のように使い、フリーハンドで概要などが描かれているのも印象的です。
そして、室内から見える中庭のCOURTYARDでは、展示会場での実験用に作られたパビリオンが設置されています。TOTOギャラリー・間の日射環境・風環境・構造などを解析し、夏の期間に自然の恵みを受け入れるかたちとして生み出されたパビリオンは、アップサイクルされたTOTOの衛生陶器廃材が屋根部分に使われているとの事。
そして、4階にあるGALLERY 2では、現在進行中のプロジェクトを中心に、高温多湿な多くのアジア地域に適した”開放系”の建築のあり方に対する、SUEPとしての考え方が映像や建築模型として展開されています。壁に設置されたモニターに流れる映像では、実際の建築が施工されていく様子や、現地の環境を考慮した建材の制作過程などを詳しく知る事ができます(一部、実際の建材も近くに展示されています)。

(下記の段落では、展示を見た一人の人間としての見方が少し前面に出ている事をご了承いただければと思います)
展覧会の題名にも含まれている「Harvest」は、カラフル(多様)・ハピネス(喜び)・エネルギー(活力)である…というSUEPの思いが込められているそう。展示されている建築模型は、その言葉の意味を体現するかのように、キラキラと光を反射させる鮮やかな材料や明るい色味の材料で作られていました。展覧会のパンフレットを一読し展示を見ている時に感じた美しい統一感や捉えやすさは、おそらくそういった作品のこだわりが重なり合ってできているものなのではないでしょうか。
そして、中庭エリアに設置されたパビリオンの、その場所に当初から設置されていたかのような溶け込み度合いもとても印象に残っています。今回の展覧会の機会とともに生まれたものとしての、TOTOギャラリー・間でしか体感できない特別感もあって、パビリオンの存在は会期中に対面することができてよかったと強く思っているものの一つです。

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温暖化や自然災害が頻発する現在で地球と人がともに生きるため、あるべきこれからの建築の姿を問いた『末光弘和+末光陽子/SUEP. Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち』。
この夏にぜひ訪れてほしい展示の一つです。

■展示情報
末光弘和+末光陽子/SUEP. Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち
2022年6月8日(水)〜9月11日(日)
会場:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F TOTOギャラリー・間
https://jp.toto.com/gallerma/ex220608/index.htm