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幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷展

INAXギャラリー1で開催されています「幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷展」に行ってきました。会期は2月19日(土)まで。
松浦武四郎とは多彩な顔を持つ才人で、全国を旅した探検家であり、たくさんの著作を表した著述家でありました。また広いネットワークを持ち、各地の文物を蒐集した趣味人でもありました。今展では、終の棲家として建てた「一畳敷」を起点に、人生の足跡をたどりながら、武四郎の知られざるユニークな人物像に迫ります。


「一畳敷」というミニマムな空間を見るつもりでいくと松浦武四郎の多彩な奥深さに驚いてしまいます。かなり型破りで個性的、反骨精神もあります。

まずはよく知られている蝦夷地探検家としての側面。私人として6度もの蝦夷地、国後・択捉島、樺太南部の実地調査を行いました。伊能忠敬と間宮林蔵が蝦夷地の輪郭線を測量しましたが、内陸部はほとんど手つかずのままでした。測量家ではない松浦は、アイヌの人びとに案内を頼んで実地調査し、山、川、湖沼、岬名を詳細に表しています。

東西蝦夷山川地理取調図 安政6年刊 十勝平野周辺図 
撮影/中里和人




アイヌの人びとの暮らしや蝦夷地の動物、植物などを図入りでわかりやすく紹介した紀行本を数多く出版しました。蝦夷地の情報が少なかった時代にかなり人気があったそうです。民俗学者、博物学者と云っても差し支えないと思います。
<北蝦夷余誌 安政7年刊 撮影/中里和人


一畳敷は写真パネルとして再現されていて、中に入って空間を確かめることもできます。「トイレに本棚を作り落ち着いて一人で読書」的なことを想像していましたが、実際には一畳に縁取る畳寄せが幅15cmくらいあり若干広め。

あとちゃんと床の間に地袋、神棚、書棚なども付いています。窓も2方向に大きく取られていて閉塞感はありません。南側の窓に文机を置いて、火鉢、急須などを持ち込み一日ここで過ごし、夏には蚊帳を吊って寝泊まりしたと云われています。(現在は国際基督教大学内に移築されています。また90度向きが変わっているそうです)
<一畳敷内部 撮影/中里和人


展示では強調されていませんが、アイヌの困窮の状態や抵抗を描いた「近世蝦夷人物誌」を表しています。「アイヌ人物誌」という書名で平凡社ライブラリーから現代語訳が出版されています。

その他、篆刻作りに優れて旅の費用を賄ったり、渋柿を塗った扇子に時の有名人にサインや絵を描いてもらったりしています(シーボルト、市川団十郎、勝海舟など多数)。そして「北海道」の名付け親でもあります。ユーモアもありスケールの大きな人物です。展示物だけではとても松浦武四郎のすべてはわかりませんが、映像資料が用意されているのがよかったです。(K)

INAX BOOKLET/幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷
INAXギャラリー企画展の図録として刊行されています。編集/ADは祖父江 慎さん。