第34回レモン展まであと1週間
2011年4月27日
第34回レモン展、いよいよ始まりです
2011年5月2日
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Nearest Faraway|世界の深さのはかり方

東京都現代美術館で開催されています「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」に行ってきました。会期は5月8日(日)まで。
「MOTアニュアル」は、グループ展形式で紹介するものとして当館が1999年より行っているシリーズ企画です。11回目となる本年は「Nearest Faraway 世界の深さのはかり方」を副題に6人の作家により構成します。

本展で取り上げる6人の作家たちは、身の回りにある、特別なものではなく誰でも簡単に手に入る素材と、シンプルな技法を用いる作家たちです。けれども、そのシンプルさはそれぞれ独自の明確な方法論に支えられており、その作品からは、「見ること」や「聞くこと」また「作ること」、そして「時間」や「空間」といった、いわばさまざまな事象の成り立ち自体を問うような姿勢を感じることができます。繊細さや時にユーモアとともに、一種ストイックな手触りと奥行きをもつ彼ら/彼女らの作品は、私たちを支えるこの世界の深さと豊かさを様々な仕方で垣間見させてくれるでしょう。

冨井大裕さん
アルミパンチング板にスーパーボール、とてもカラフルできれいです。その他、色鉛筆・ダンボール箱・スポンジ・ハンマー・ストロー・画鋲など見慣れている物たちが富井さんに作られることにより新たな作品になります。ポケットティシュを壁にネジ止めした《tissue and screw》って…。
《ball sheet ball》2006 アルミ板、スーパーボール



木藤純子さん 
水の入った大小のグラス。近づいて上から覗いてみると空が見えます。名付けて《skypot》。気が付くと天井の外光窓に映る枝から桜の花びらが落ちてきます。いったいここはどこなのでしょう。一日中じっとしていたい気持ちです。
《空見の間》2010 カッティングシート、ガラス、水、紙、ほか 写真提供:富山県立近代美術館 [参考図版]



関根直子さん
水彩紙に鉛筆と練りゴムで描き込まれて鉛筆画。大きな作品《パノラマ》では真ん中あたりに山みたいなものが描かれていて幻想的な風景画。モノクロの印象派の作品みたいにも見えます。会場は、作品がいろいろな角度で配置されていてちょっと迷路に迷い込んだような感じです。
《点の配置》 2007 鉛筆/水彩紙(シリウス)



池内晶子さん
画像ではわかりにくいですが、細い絹糸によって張られた作品。会場では白糸でしたので目を凝らさないと見えてきません。焦点が合ってくると作品が突如浮き上がって見えてきます。す、すごいです。
《Knotted Thread-Red》 2009 絹糸



椛田ちひろさん
紙に油性ボールペンで何度も塗り込められた作品。プリントアウトした訳じゃなくて、もはや紙には見えなく金属のような光沢のある質感です。作品はどれも天井まである大きさで圧倒されます。《シュワルツシルトへの回答 24のメトリック》2009 油性ボールペン/インクジェット紙



八木良太さん
球の表面にはカセットテープが丁寧に巻かれています。それを再生ヘッドの付いた台に静かに乗せると球が回転しながら会場に再生された音が流れます。音自体は単なるノイズですがその球が回るさまといっしょに聴くと不思議な音空間が広がります。
《Sound sphere》 2010 ミクストメディア



現代アートと云うとアイデア一発みたいに感じていましたが、作家さんそれぞれの深さへの探求には脱帽です。それでは「世界の深さのはかり方」って何でしょう。そのヒントを…。
測深鉛を下ろす、という言葉があります。手許からの錘の付いたロープを水中に沈め、水底に触れる微かな手応えをもとにその深さを測るのです。細心の注意を払って目に見えないものを見えるようにするその行為は、見えるものと見えないものをめぐってなされる、作家たちの不断の制作になぞらえることができるかもしれません。