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南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎

サントリー美術館で開催されています「南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎」に行ってきました。会期は12月4日(日)まで。

16世紀半ばから17世紀初頭にかけて、ポルトガルやスペインからいわゆる南蛮船が来航し、西欧の地や、中継の港で荷積みされた貴重な文物を日本にもたらします。また南蛮船に乗船した宣教師がキリスト教を日本に伝え、いわゆる南蛮美術や文化が花開きました。南蛮美術の中でも重要文化財「泰西王侯騎馬図屏風」は、桃山時代から江戸時代初期の初期洋風画の傑作として世に知られています。神戸市立博物館とサントリー美術館が分蔵するこの屏風は、もとは福島・会津城の障壁画であったと伝えられてきました。今回はこの「泰西王侯騎馬図屏風」に関して、東京文化財研究所の特別協力により、画面の光学調査を実施し、その調査結果も展覧会でご覧いただきます。また同時代の南蛮漆器、南蛮屏風などの南蛮美術も一堂に集め展示します。これらの南蛮美術は、西洋と東洋の出会いが生み出した稀有な作品群と言えるでしょう。これらを深く鑑賞することにより、キリシタンや南蛮人をとりまく日本近世初期の歴史の光と影を実感していただければ幸いです。
セクション割は、
第1章 はるかなる西洋との出会い
第2章 聖画の到来
第3章 キリシタンと輸出漆器
第4章 泰西王侯騎馬図屏風の誕生と初期洋風画
第5章 キリシタン弾圧
第6章 キリシタン時代の終焉と洋風画の変容
第7章 南蛮趣味の絵画と工芸

前半は、狩野派を中心した「南蛮屏風」が数多く展示されています。見慣れた豪華な上衣にハーレムパンツの人々と宣教師が描き込まれています。当時の人々が並々ならぬ好奇心にかき立てられたのは間違いありません。また、美しい聖画やメダル、金や銀の蒔絵と螺鈿が施された聖龕(観音開きの扉をつけた壁掛け式の厨子)はとても美しいものです。


花鳥蒔絵螺鈿聖龕(聖母子像)一基 桃山時代16世紀末〜17世紀初期 サントリー美術館

そして、神戸市立博物館とサントリー美術館が分蔵された《泰西王侯騎馬図屏風》がここでひとつになります。

泰西王侯騎馬図屏風 四曲一隻 桃山〜江戸時代初期 17世紀初期 神戸市立博物館

泰西王侯騎馬図屏風 四曲一双 桃山〜江戸時代初期 17世紀初期 サントリー美術館

岩絵具で描かれたれっきとした日本画なのにそこに表されているのは世界の王たち。遠近法を駆使した陰影を施したダイナミックな動きが金地の屏風の中に収まっているのはとても素晴らしいです。デジタル精密画像やエックス線画像の最新研究もとても興味深かった。屏風の構造は、神戸市立博物館は「四曲一隻」、サントリー美術館は「四曲一双」。実際に見ればなるほどと思いますが、画像になっているとちょっと間違いやすいです。

その他では《泰西風俗図屏風》(福岡美術館)《洋人奏楽図屏風》(MOA美術館)がよかったです。まるでおとぎ話のような可愛らしい屏風です。

最後に心震えたのは《踏絵》《聖フランシスコ・ザヴィエル像
実際のメダルが木枠に埋め込まれた「板踏絵」は、表面の木の肌から目が離せなくなりました。これほど歴史がリアルに感じられたのは始めて。
板踏絵 ピエタ 一枚 17世紀 東京国立博物館
板踏絵 エッケ・ホモ 一枚 16世紀後半〜17世紀初期 東京国立博物館 

そして誰もが教科書で見たことがある《聖フランシスコ・ザヴィエル像》。天上に向かって十字架を捧げ持ち心臓が燃え盛るさま。ザヴィエルは「満ち足りています」と口にしています。この紙本が現存するものやはり奇跡なのでしょうか。

アニメ「へうげもの」で古田織部がのぼり旗の図案を高山右近に相談した時にザヴィエル像を出して「これがこころというものではないでしょうか」とハートの図案は考えだすのを思い出しました。

聖フランシスコ・ザヴィエル像 一面 江戸時代初期 17世紀初期 神戸市立博物館