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レンブラント 光の探求/闇の誘惑

国立西洋美術館で開催されています「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」に行ってきました。会期は6月12日(日)まで。

レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は、17世紀を代表するオランダの画家であり、古くより「光と影の魔術師」「明暗の巨匠」と呼ばれ、光の探求や陰影表現、明暗法を終生追求した作家でした。本展は、版画と絵画におけるレンブラントの「光と影」の真の意味を再検討しようとするもので、オランダ・アムステルダムのレンブラントハイスの協力のもと、アムステルダム国立美術館、大英博物館、ルーヴル美術館などが所蔵する世界中の重要なレンブラント作品で構成されます。約110点の版画を中心に、レンブラントの明暗表現の特徴を示す約15点の絵画と素描を加え、また版画作品のうち約30点は和紙に刷られたものを展示します。レンブラントによる「光の探求」、そしてみるものを惹き付けてやまない「闇の誘惑」、レンブラントが追求した光と影の芸術の世界にどうぞご期待ください。

レンブラントというと、「夜警」「テュルプ博士の解剖学講義」などの集団肖像画が有名ですが、今回は油彩は15点と少なめで版画を中心に構成されています。西美では前回の「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」から版画系が続きます。

セクションは、
1.黒い版画:レンブラントと黒の諧調
2.淡い色の紙:レンブラントの和紙刷り版画
3.とても変わった技法:レンブラントのキアロスクーロ
4.《3本の十字架》と《エッケ・ホモ》ー2点の傑作版画

「黒い版画」では、同時代の他の画家の作品も並べられいます。ワレラン・ヴァヤン《ヴァニタス、壁龕の静物》って版画でこんな階調の豊かなものが出来るのかとちょっと驚き。「メゾチント」と呼ばれる技法。レンブラントではチラシの表紙にもなっている《東洋風の衣装をまとう自画像》がメイン。絵は素晴らしいですが当時はこういうのが趣味だったのでしょうか。版画では《貝殻》《3本の木》がよかった。久々にポストカード買いました。

《貝殻》1650年、レンブラントハイス 《3本の木》1643年、国立西洋美術館

「淡い色の紙」とは、東インド会社によってもたらされた日本の和紙のこと。さすがオランダ。和紙と西洋紙刷りと並べられて展示されています。個人的は白い西洋紙の方が好みかな。いや待てよ。《病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)》を観たら圧倒的に和紙のほういい。
《病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)》1648年頃、国立西洋美術館

「キアロスクーロ」とは陰影法。光を捉えるというと今はフェルメールの方が有名だけれども、あの黒い背景から浮かび上がってくる肖像画は独特で素晴らしい。ここでは油彩がすごい。

《書斎のミネルヴァ》1635年、個人蔵 《ヘンドリッキェ・ストッフェルス》1652年頃、ルーヴル美術館

最後の部屋では《3本の十字架》と《エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)》のステート(刷り)の途中からまったく主題が変わってしまうような大胆な変革が観られます。

《3本の十字架》第3ステート、1653年、大英博物館/第4ステート、1653年、レンブラントハイス
《エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)》
第2ステート、1655年、大英博物館/第8ステート、1655年、レンブラントハイス

何でこのように同じ版画から数多くのステートを作るのかと思っていましたら、芸術的な解釈よりも版画愛好家のために一点物・限定版を作っている面があるようです。和紙で刷るのが版(ドライポイント)をあまり傷めないため、最初の試し刷りで多く用いられています。そのアウトテイク的な作品がコレクターに好まれていたのでしょう。同じ曲で何々バージョンを作るミュージシャンみたいな感じなのか。とにかく奥が深い。これでは一回観るだけではとても足りません。

常設展も行きました。モネの《睡蓮》はちら見だけにして、ロセッティ《愛の杯》ミレイ《あひるの子》スーティン《狂女》に会ってきました。(K)