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法政大学 奥村彩希さん 卒業制作を振り返って

第37回レモン展出品から 法政大学デザイン工学部建築学科(2014年当時)奥村彩希さんに「トドマル/メグル ー大谷エコミュージアム構想ー」制作中の思い出などを振り返っていただきました。
私が卒業制作を提出してから早1年が経とうとしています。 後輩たちが、制作に奮闘している姿を見て、辛かったな、苦しかったなと思う一方、あの経験がなかったら今の自分はいないと思えるほど、とてもいいものだったなと感じています。 制作中に迷ったり、つまずいたりした際に先生や先輩方のアドバイスとともにこのブログにもものすごく救われたので、このように私が執筆をさせて頂いているのはとても光栄に思います。作成中つまずいた際に、一番参考になった記事のように「いつ、どんなことをしたか」を具体的にご紹介できたらと思っています。 ■敷地選定、調査(~11月) 私の大学では10月の論文提出後すぐに卒業制作に取り掛からなければならないので、論文執筆中に制作のことも考えていかなくてはなりません。私の場合、大谷という一つの町の歴史と採石場という場所の使われ方について調査していたので、自然とその町に当時の活気を取り戻したいと思うようになっていました。 制作中、最初に迷うのはこの部分だと思います。なかなかスタートが切れない人は興味のあるものや場所について、一つに絞らなくても、とことん調べるといいと思います。私は論文の延長でしたが、設計するにあたってもそれについての本を読んだり、その土地の人に話を聞いたり、といろいろな方法で調査をし、情報量を増やすことはその後にかなり役立ってくると思います。 ■プログラム決め(12月) 今までの大学の設計課題では、敷地や対象が決まっていたり、何かしらの制限があったり、ある程度条件の中で考えることができました。しかし、条件のない卒業制作は、それらがあることで、プログラミングや設計を行っていく方スタンスの私にとっては一番苦労したところでした。ものすごく迷い、ここで相当な時間を使ってしまいました。そんな時、論文執筆中に集めた資料や写真を見返したり、また新たに大谷出身の方に会いに行っていろんなお話を伺いに行ったりしました。 今まで集めた情報や要素から、魅力を感じ残したい、強調したいと思ったものなどをできるだけ多く書き出し、その要素を組み合わせたり、削ったりしていくということでプログラムを構想していきました。条件がないことをプラスに考え、あえて「美術館」や「商業施設」など目的をはっきりとさせず、「人々が集まり、滞在し、そこにある風景を大いに感じて巡りたいと思えるように町全体をエコミュージアム化する」というコンセプトとプログラムを考えました。 ■設計(12月〜1月) 大谷という町全体をプログラムに盛り込んでいましたが、実際に建築をする敷地は30m以上の高低差のある「奇岩群」の場所を選んでいたため、平面の構成だけではレベル差がうまく考えられず設計にはなかなか苦戦しました。その頃、タイムリミットの焦りもあって、時間のかかることを避けていたのですが、思い切って敷地模型をつることにしました。案の定高低差のある敷地模型の制作には2日半程かかってしまいましたが、それによって動線や、それぞれのレベルから見える景色を立体的に意識することが出来、その後のプランニングはそれまでよりもスムーズに進んだので、結果的にうまくいった作業でした。 もし設計に迷ったら、時間をかけてでも初めのうちに敷地を作ることを私はお勧めします。また、スタディだからといってケチって段ボールや端材などで作るのではなく、スチレンペーパーなどのきちんとした材料で作った方がいいと思います。その方が加工もしやすいですし、本模型を作るにあたっての表現のスタディにもなると思いました。 ■模型制作(1月) 卒業制作を考え始めた当初では1月の初めから模型制作に取り掛かる予定でしたが設計に思いのほか苦戦し、実際に制作に取り掛かったのは1月の2週目~3週目くらいだったと思います。提出が1月の末だったのでかなり焦りましたが、妥協をしたり中途半端に作ったりすると途中で迷ったり止まったりしてしまうと思ったため、模型は、1/200の全体模型に加え、1/100の部分模型を作りました。部分模型に関しては、先生や先輩方にたくさんエスキスして頂き、表現にこだわりました。先生には今からこだわるのは時間的に厳しいと言われましたが、絶対に後悔したくないと思い、なんとか形にしました。結果この部分模型にこだわったことで制作の意図やコンセプトがうまく表現でき、インパクトも与えることができたのでこのように学内設計賞頂き、注目してもらえたのかなと思っています。 ■振り返って 卒業制作中は常に建築のことを考え、家から駅までの道も、電車の中でも、校舎の中でも廊下幅や天井高、道路幅、多くの人が行き交いやすい動線はどこなのかなど大学4年間で一番といってもいいほど、普段の生活からも建築を吸収しようと努力していた気がします。卒業制作に取り掛かる前からこのように周りを見渡していればよかったと思いますが、ここまで追い込まれないと気付かなかったことかなとも思います。もし、制作に取り掛かる前の建築学生の方々にこれを読んでいただけたなら、ぜひ有名な建築のほかにも普段生活している身近な建物や道にも注目してもらえればなと思います。 ■最後に 卒業制作をするにあたって、たくさんのアドバイスや手助けをして下さった先生や先輩方、後輩のみんな、そして同じ研究室で頑張っていた同期のみんな、またレモン画翠様にこの場を借りて感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。