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千葉大学 竹中祐人さん 卒業制作を振り返って

第36回レモン展出品作品の中から千葉大学工学部建築学科(2013年当時)竹中祐人さんに「水の振る舞いのもとに ー2つの水系モデルの提案ー」制作中の思い出などを振り返っていただきました。

はじめに
作品の内容よりも、卒業設計の時期に自分が考えていたこと、反省を振り返り、次の子たちの糧になれればと思います。

迷い
卒業設計とは?みたいな質問を幾度か頂いたことがあります。「4年間の思いをぶつける場」「社会に考えを投げかける機会」など、その答えは人それぞれだと思います。自分は「不確定要素の多いコンペの1つ」でした。

学部時代の4年間、多くの卒業設計展やコンペを見て、それに憧れ、また同時に疑問を感じてきました。全国には優秀な方がたくさんいて、感動するような作品も幾つもありましたが、そんな中で自分の理解を越えた作品が賞を取っていたり、ある会場では評価されていた作品が別の場所では目も向けられない作品となっていることがあります。それは勿論、そこに多種多様な評価軸が存在しているからですが、卒業設計をするからには大きな目標を掲げてから取り組みたかった自分には、大きな矛盾点であった気がします。


先見
自分を評価してくれそうな人が来る会場を選ぶという選択肢ではなく、多くの人が受け入れる作品を設計するというスタンスを持とうと決めました。これまでの課題では学内で一等を取ることを目標にしてきましたが、この設計では初めて“全体の5%以内の順位に入ること”という目標を感覚的にもち続けようと決めました。

“2つの水系モデルの提案”という提案形態を取ったことも、そのスタンスをどこかで意識していたからだと思います。自分は対極性のある2つの解を1つの敷地の中で設計しました。2案設計して、どちらかがお荷物になるリスクを覚悟の上で、自分の表現の幅を広げようとたわけです。当初は設計量が2倍になるだけだから気合で何とかなると考えていましたが、その読みは少し甘かったとも思います。ただ、費やした時間と作品の表現の幅を比べると自分に合っていた方法であったのかなと思います。学内では成功し、全国の講評会では成功したり裏目に出たりが半々くらいな印象です。

準備
自分の所属している研究室では卒業論文にも力を入れていた為、卒業設計を考え始めたのは12月初めというかなりシビアな時期でした。そのため卒業設計として新たな課題を見つけようとするより、普段から考えていたことを表現できるテーマを探すことに時間を使いました。偶然、他のコンペに出し損ねた水系のアイディアがあった為、それを頭の隅に東京中の川を歩き回ったのが12月上旬です。

そこから提出2週間前まで最低限の休息以外は徹底してスタディを繰り返しました。残り時間が少なかったこともそうですが、1度気を抜いてしまうと崩れてしまいそうな恐怖があったからです。SNSに並ぶ友達の楽しそうな写真を横目に、1人で研究室から初日の出を見たのは今でも思い出です。


仲間
支えてくれた仲間が多かったです。同じ建築学科の同輩・後輩・他大の友達や都市環境科や美術科の子にも来てもらい、計14名にもなりました。集中する時は徹底し、ふざける時はふざけるというメリハリのある雰囲気をつくることが目標でした。結果後輩たちにとっては、辛い時は徹底して辛く、楽しい時は徹底して楽しいという印象だったかもしれません。とにかく彼らが優秀であったため、自分が雰囲気をかき混ぜるようなこともできました。実は余裕でも間に合わないといってみたり、実は辛くても余裕そうに振る舞ってみたり、自分ではうまく操っていたつもりでしたが、恐らく多くの迷惑をかけてしまったように思います。

配慮したことは、模型の予定の徹底管理・材を惜しまない(材料不足は効率がガタ落ちに直結)・接着材等の道具は人数分用意する(探す行為や待つ行為も無駄な気がした)・ゴミ箱は多く設置(結果的に作業台が綺麗になる気がする)・整理整頓 (後輩よりも自分の方が多く掃除してた気がします 笑)・好きなだけ間食はしてよいことにする、といったところでしょうか。

終わり
卒業設計ではとにかく客観的に見ることを意識していました。この「不確定なコンペ」に対し、ストラテジックに考えることが自分の強さであり、また本質的な弱さであることは強く意識していたように感じます。ただ、自身にとって卒業設計がどうであるかというよりも、この作品を通して全国でたくさんと人と出会えて話せたことの方が価値があるような気がします。これから卒業設計を行う方々はどうか自信を持って全国の人々の集まる展覧会に出展してください。きっと良い出会いがあります。レモン画翠様をはじめ多くの方に発表の機会を頂き嬉しく思っています。この場を借りて厚く御礼申し上げます。