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武蔵野美術大学 池川健太さん 卒業制作を振り返って

第38回レモン展出品から武蔵野美術大学造形学部建築学科(2015年当時)池川健太さんに「Recidential BELT」制作中の思い出などを振り返っていただきました。


はじめに

卒業設計が終わって早1年が経とうとしていますが、僕にとっては楽しかった思い出がほとんどです。アイディアの長所を推してくれた教授や非常勤の先生、何一つ文句を言わずに手伝ってくれた先輩や後輩など、周りの環境に支えられていた事で制作に夢中になる事が出来ました。


敷地設定(5月)

敷地の設定に関しては、予め自分の馴染みのある場所にしようと決めていました。人によっては敷地設定の段階で大きく崩れる場合もあるので、長い設計を見据えた上で比較的理解の深い場所を設定することによってリスクの軽減も考えました。
ただし、その場所に対する予備知識が多すぎるとバイアスがかかってしまうので、現地調査の時は、出来るだけ意識的に主観を排除した状態で観察するようにしていました。敷地の調査では、定量数値としての一般的なデータと自身の感覚的なデータをしっかり区別した上で、出来るだけ言語化しておく事が重要です。


アイディアの決定(10月-12月)

敷地を決定したのは5月でしたが、本格的な設計に入ったのは10月です。僕は運良くすぐにコアとなるアイディアが浮かびました。大学の帰りの電車の中で突発的に浮かんだものなので「こんな簡単に出るようなもので良いのか」と不安にもなりましたが、感覚的にこのアイディアまでなら最後まで走れそうだと思ったので、直感ですぐに決めました。最終的には自分のアイディアを信じ切る事が結果として良い方向に向くと思います。ただ、割と簡単にアイディアが決まって気が緩んでしまい、その後の細かい設計を詰めていく段階でサボって手を抜いてしまったなと反省しています。


模型製作(10月-1月)

模型に関しては、とにかく大きいものを作ろうと考えて計画的に製作していました。提出は1月中旬でしたが、10月から設計を進めると同時に添景などの製作を始め、設計の変更などによって変わる可能性のある場所以外の模型は提出の1ヶ月前の段階で終わっていました。模型に関してはかなり前倒しでやっていたので、最後まで徹夜せずに十分な睡眠を確保出来ました。
結果的には、5m四方の教室1つを埋め尽くす巨大な模型となりましたが、終わった後の順位や賞より与えられた時間の中でこれだけ手を動かす事が出来たという事実の方が今の自信に繋がっています。模型のクオリティに関しても想像を超えるような良い物が出来たように感じます。アドバイスをくれた人や製作協力してくれた人に感謝です。
製作協力に関しては、付きっ切りで手伝ってくれた1人の器用で優秀な後輩を除いては、時々協力をお願いする程度でした。1日だけ3人に手伝ってもらいましたが、それでも全員に指示を上手く伝えるのが大変でした。あくまで自身の感想ですが日毎に多くの人に頼むより、自分以外に設計のコンセプトを深く理解してくれる人が1人付きっ切りでいてくれるような状況の方が作業が進めやすいなと感じました。

学外展

僕は、学外展はレモン展以外は出していません。設計が終わった後に息が切れてしまったのと、模型が大きすぎて運送できなかったので、多くの人に作品を見てもらう機会はありませんでした。しかし、レモン展では学内では無かった視点での講評を沢山もらえたので、今は色んなコンペに出しとけばよかったなと少し後悔しています。皆さんも機会があれば積極的に意見を貰う事をお勧めします。


できるだけいつも通りに

卒制は、普段の設計課題の延長のように捉えていました。「4年間の集大成」だとか変に気負わずにできるだけ「いつも通り」を心がけていたので、バランスを崩さずに終われたと思います。


終わりに

殆どの学生にとって、卒業設計というのは自身の代表作になるはずだし、設計を終えた後も長い間付き合うことになるかもしれません。なのでこれから卒業設計に臨むみなさんには終わった後の結果はどうであれ、自分にとって納得できる作品を作れるよう頑張って欲しいです。最後に、展示の機会を設けて下さったレモン画翠のスタッフや運営をしていた学生の皆様にこの場を借りて感謝したいと思います。ありがとうございました。